公害防止関係 資格

公害防止管理者の仕事内容を解説します!  

2020年9月7日

工業地帯

こんにちは。ダイスケです!特定工場において
公害防止管理者の役割はとても重要で、近年で
は環境問題・法令遵守の観点から企業側として
も重要な業務であると認識しています。そこで
今回は私自身が公害防止管理者として仕事を行
っている内容をみなさんへお伝えしたいと思い
ます。これから資格を取られる方・実務を行う
方などにお役に立てれば幸いです。     

公害防止管理者とは?

公害防止管理者とは特定工場において、公害発
生施設または、公害防止施設の運転・維持・管
理・燃料・原材料の検査等を行います。   

私が日々行っている作業でいえば、排水処理施
設の運転などがあります。工場から出る排水な
どを適正に処理し、公害を出さないよう業務に
あたっています。             

私の工場は製造業で汚水等排出施設と、ばい煙
発生施設があり、特定工場に該当するので公害
防止管理者の選任が必要となります。    

私はこの工場で公害防止管理者に選任されてお
り、日々実務を行っています。       

汚水等排出施設とはどんな施設?

水質汚濁防止法対象での汚水等排出施設の区分
を確認すると、私の工場では酸又はアルカリに
よる表面処理施設に該当し、水質関係第2種の
公害防止管理者を選任しなければなりません。

また、工場の総排水量に応じて選任する管理者
が水質1種や水質3種になったり、変わってき
ます。いろいろと区分があるんですね。   

工場で生産している製品は鉄鋼製品になり、最
終仕上げの段階で、酸を使用したエッチング処
理を行い製品を仕上げていきます。     

公害防止管理者(水質)の実務は?

排水溝

生産ラインから送られてきた排水は、専用の排
水処理施設で処理を行います。       

少し大げさになりますが、ここからが公害防止
管理者としての腕の見せ所となります。特にこ
の排水処理業務は一番気が抜けないですね。 

理由としては、やはりきちんと処理を行い決め
られた排水基準に従って放流を行う事でしょう
か。この地域の排水基準はけっこうきびしいの
で、いつもピリピリしてます。       

へんなものを流したら、へたをすれば操業停止
にもなりかねないので気を遣います。    

工場の排水を適正に処理し放流する

生産ラインから流れてきた排水は酸性の水にな
るので、それをアルカリ性の薬剤を投入して中
和処理を行います。中和処理を行うことで有害
物質を除去するのです。          

たまに、生産ラインから流れてくる排水がいつ
もと違う場合には、それに見合った処理を行っ
たりします。               

だいたい運転の状況で分かりますね。ペーハー
計の動きや、薬剤投入時間がいつもより長いか
、短かかったりとか、排水の色とかでも判断し
ます。                  

たとえばですが、「今日は酸のペーハーが高い
傾向で、中和材の投入量が増えるだろうから、
ポンプの流量を下げて、汚泥の浮上を安定させ
ようか」とか、そんな感じで行います。   

また、こんな事もあります。逆に中和材の投入
量が少なくなった場合には、有害物質の排水値
が上昇する傾向になります。        

その時には外部から強制的に酸を追加して、あ
えて中和材が投入するような状態を作りだした
りもします。               

排水処理は注意が必要なんですね。けっこうシ
ビアなので、うまくコントロールしています。

このあたりは長年の経験でしょうか。こういう
時はこんな感じでやれば、適正に処理する事が
できると分かります。           

設備の日常点検・設備の保全・水質測定・薬品の管理等もきちんと行う

メモを取る人

排水処理施設の運転以外にもやる事はたくさん
あります。設備を毎日順調に動かすため、各ポ
ンプなどが正常に動いているか、朝一に日常点
検を行います。              

ポンプに異音がないか、適正な圧力を保ってい
るかなど、目視と音で判断します。その他の設
備に付いても同じような感じでしょうか。  

もし、ポンプやその他の設備に異常があった場
合は、可能なかぎり自社で整備を進めて復旧し
ます。                  

あとは排水の水質測定も行います。基準値以内
に放流ができているか確認を行い、1日あたり
2回くらいは測定を行っていますかね。   

また、自社での測定以外にも定期的に外部の分
析業者にも依頼し測定も行っています。きちん
とした証明にもなるので。         

自社と外部業者との測定値に大きな誤差がでて
いないか、確認の意味もあります。     

あとは薬品関係の管理も大事ですね。各薬品の
分析成績書の入手と棚卸もきちんと行い、中に
は劇物の薬品もあるので、勝手に誰かが持ち出
していかないよう管理しないといけません。 

水質関係の業務はそのような感じで行っていま
す。                   

ばい煙発生施設とはどんな施設か?

大気汚染法防止法の定義ではこのように書かれ
ています。                

工場又は事業所に設置される施設でばい煙を発
生し、及び排出するもののうち、その施設から
排出されるばい煙が大気汚染の原因となるもの
で政令で定めるものとなっています。    

うちの工場では加熱炉やディーゼル発電機があ
るので、これがばい煙発生施設にあたります。

区分でいうと大気関係第4種の公害防止管理者
の選任が必要となります。         

公害防止管理者(大気)の実務は?

工場の煙

大気関係では加熱炉・ディーゼル発電機の稼働
状況、排ガスの状態などを日常点検でチェック
します。                 

ディーゼル発電機で使用している燃料ですが、
低硫黄分のA重油1号、又はローサルファーA
重油と呼ばれている物を使用しています。この
地域ではこの燃料を使用しなさいと決められて
います。                 

また、燃料を受入れする時には成分表が明記さ
れている試験成績書をメーカーから入手し、成
分に問題がないか確認も行います。     

のちに立ち入り検査があった場合には提示を求
められるので必ず保管をしておきます。   

あとは実際に大気中に排出している排ガスを定
期的に検査しなといけません。年2回ほどです
が、専門の業者に依頼し、排ガス測定を行って
もらいます。               

物質の検査項目はたくさんありますが、代表的
な項目でいうと窒素酸化物濃度でしょうか。基
準値をオーバーした場合は、きちんと原因を突
き止め、改善させなければいけません。   

以前ですが、測定結果に不具合あり原因を調べ
ると発電機側の燃料を噴射する装置に異常があ
ったので、交換を行い改善させました。   

このように、公害防止管理者はきちんと大気汚
染防止に努めなければいけません。     

公害防止管理者は立ち入り検査等にも対応する

年に1度は行政による立ち入り検査が入ります
。検査を担当している機関は県の環境・公害防
止を担当している部門になります。     

基本は抜き打ちでくる事が多いのですが、ここ
最近では事前に電話連絡が入り、この日でどう
でしょうか?とこちら側の都合も聞いてくれま
す。                   

以前であると、急に工場に来られてビックリし
た事がありました。とりあえず問題がないよう
にはしてますが、正直あまりいい気分ではない
ですね。                 

立ち入り検査時の対応ですが、公害防止管理者
を選任されている私が行います。もし不在であ
った場合は公害防止管理者の代理者が対応する
形になります。              

立ち入り検査の内容としては水質と大気の状態
に問題がないか、水質記録表と排ガス測定の分
析結果も確認されます。          

あとは、先ほど説明した使用燃料の試験成績書
の成分表の確認でしょうか。毎回必ずチェック
されますね。               

検査する担当者の方によっては書類をこと細か
く確認する人もいれば、ザックリと書類に目を
通して終わりという方もいます。      

会社の概要・製造工程・工場全体の事を説明できるようにする!

苦い経験があるのですが、私が初めて対応に当
たった時は苦労しました。けっこう厳し目の方
にあたり、あれこれと質問攻めにあい、ほんと
参りましたね。              

そこで質問された内容とは、製造工程の説明と
、製品の用途、機械装置の名称や動作などの説
明と、排水処理に関しては、有害物質の発生は
どんな理由で出てきて、それをどう処理してい
るかの内容でした。            

当時はまだ担当者になりたての頃で、把握して
いない部分もありました。とりあえず水質・大
気のほうをだけを把握していればいいだろうと
思ったので工場全体の事まではあまり考えてい
ませんでした。              

あとは会社の概要なんかもきちんと説明できな
いといけませんね。全従業員の代表して外部の
人に対応する訳ですから。         

その件があってからは、しっかり説明できるよ
うにしました。これから担当される方はその点
にも注意して頂きたいと思います。     

どんな人が来ても落ち着いて説明できるように
したいものですね。            

書類検査が終わった後は最後に工場の排水を採
取して、持ち帰ります。数週間後に排水の結果
が送られて問題がなければOKとなります。 

そんな感じで立ち入り検査があるので、私はい
つでも問題がないよう日々の実務をしっかり行
っています。               

さいごに

みなさんいかがでしたか?         

公害防止管理者の業務はどちらかというと裏方
の仕事になります。けっして目立たないのです
が、工場を稼働していくうえで、とても重要な
役割をしています。            

少し大変な話もしましたが、私はやりがいのあ
る業務だと思います。排水処理施設での運転で
は、きちんと処理ができていると、とても気持
ちがいいです。              

みなさんもご存じの通り、現在では環境問題や
法令遵守の観点から、公害防止管理者の役割は
ますます重要となっています。特定工場ではぜ
ったいに必要な人材です。         

ぜひ、あなたも公害防止管理者の資格を取得し
て、環境技術のスペシャリストを目指しません
か?                   



-公害防止関係, 資格

Copyright© 工場マン☆ブログ , 2024 All Rights Reserved.